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不動産を売却する場合、ご本人に判断能力がなければ、そもそも売却する気持ちがあるのか、売却先や売買価格はそれでよいのかなど売却の意思を確認することができません。不動産の売買も重要な契約ですので、ご本人に代わって契約をする後見人等を選ぶには、成年後見等の申立てを行う必要があります。後見人等は、親族でもなることができますが、だれを選任するかは、最終的には裁判所が判断することになります。必ずしも申立の際に指定した後見人候補者が選ばれるとは限りません。成年後見人等が選任されると、ご本人に代わって、その不動産売却の手続を行うことになります。
ところで、成年後見制度は、ご本人の権利保護の観点から、ご本人の財産は、原則ご本人のためにしか使うことはできません。不動産を売却する場合などは、後見人等は、事前に家庭裁判所に相談する必要がありますし、この不動産がご本人の居住用不動産である場合、事前に家庭裁判所の特別の許可が必要になります。
不動産の売却が終わっても、後見人の職務は終了しません。ご本人の判断能力が不十分なので、引き続き財産管理や生活のサポートを行っていくことになります。売却によって増えた預貯金も後見人等がご本人の権利保護に重点をおいて、ご本人のために使っていくことになります。